看多機の看護師の仕事内容を徹底解説|役割・1日の流れ・やりがい

在宅介護

「夜勤を辞めて日勤だけの職場に転職したい」
「残業が多くて心も体も限界…」

このように感じている看護師の方も多いのではないでしょうか。

在宅分野に興味はあるけれど、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)がどんな職場なのか分からず不安に感じる方も多いと思います。

そこでこの記事では、実際に看多機で3年間働いている看護師の経験をもとに、仕事内容・役割・やりがい・大変さを詳しく解説します。

この記事を読むと、看多機で働くイメージが具体的になり、自分に向いているか判断できるようになります。

看多機(看護小規模多機能型居宅介護)とは

看多機とは、訪問看護・訪問介護・デイサービス・ショートステイの4つのサービスが一体化したものです。

入院日数の短縮化、在宅医療の促進により、医療ニーズのある人が自宅で過ごすケースが増えています。

看多機はそれを受けて、2012年に創設された比較的新しいサービスであり、2026年1月現在で全国に1,174か所あります。

看多機のサービス内容

看多機とは、医療ニーズの高い利用者が在宅生活を続けられるよう、看護と介護を一体的に提供するサービスです。

訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせたもので、以下のサービスを柔軟に利用できます。

  • 通い
  • 泊まり
  • 訪問介護
  • 訪問看護

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091038.html

基本的にはデイサービスのように「通い」が中心となりますが、自宅への訪問や1泊~1か月ほど宿泊することも可能です。

登録定員は29名までであり、1日の通いの利用定員はおおむね15名以下の小規模な施設です。

看多機と小多機の違い

看多機と似たようなサービスに小多機(小規模多機能型居宅介護)というものがありますが、小多機には看護の機能がありません

そのため、医療ニーズのある胃瘻や在宅酸素療法・呼吸器を装着している人、ガンのターミナル期にある人は、小多機では受け入れができません。

小多機は「通い」「泊まり」「訪問介護」を組み合わせたサービスで、看多機はそれに「訪問看護」を足したサービスです。

これにより、医療依存度の高い方も利用できるようになります。

小多機の要介護度の平均は2.21であるのに対し、看多機の要介護度の平均は3.04とより重度の人が利用しているのが分かります。

看多機の利用者の特徴

要介護1~5の人が利用できます。実際の利用者は要介護3以上の方が63.7%にのぼります。

医療依存度が高く、他のデイサービスなどの受け入れを断られた以下の状態の人も利用可能です。

  • 末期がん
  • 難病(パーキンソン病、ALS、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症が多い)
  • 在宅酸素療法や人工呼吸器装着
  • 胃瘻、経鼻栄養
  • インスリン
  • ストマ
  • 褥瘡
  • CVによる高カロリー輸液

一般的には在宅生活に限界を感じて施設入所を検討する状態にある人の、できるだけ最期まで自宅で過ごしたいという利用者と家族の思いを実現できるのが、看多機の特徴です。

看多機の看護師の1日の流れ

看多機での実際の1日は、このような流れで進みます。

その日の利用者、曜日によって業務内容は変わりますが、午前中に処置を済ませて、午後は記録や訪問・残った処置を行うケースが多いです。

利用者は16時から順次帰宅され、それ以降は泊まりで利用する人のみとなるため、夜勤者へ引き継ぎます。

残業はほとんどなく、病院ほどイレギュラーな出来事も少ないです。

看多機の看護師の仕事内容

看多機における人員配置は、厚生労働省により以下のように定められています。

  • 看護師の人員配置は常勤換算で2.5人以上
  • 通いサービス及び訪問サービス提供のうちそれぞれ1人以上は保健師、看護師又は准看護師

つまり、基準上は日勤帯で看護師が1人以上いればOKですが、実際には看護師だけで2~5人程度の日勤者数の事業所がほとんどです。

看多機の看護師の仕事内容は大きく6つに分けられます。

一つずつ説明していきます。

体調確認やバイタルチェック

来所された利用者のバイタルサイン測定を行い、体調の確認を行います。

排便の有無や全身状態を確認し、入浴できるかどうかの判断などを行います。

排便コントロールがうまくいっていない場合や、低血圧が続く場合などは、ご家族や主治医と連絡を取り、薬の調整などができるよう情報提供を行います。

来所されない日には、自宅へ訪問してバイタルチェックや褥瘡処置などの医療処置を行う場合もあります。

内服管理

持参された内服薬を確認・配薬し、看護師自身で与薬または介護スタッフが与薬できるよう申し送りを行います。

頓用薬など調整が必要な薬があれば、状態を見て与薬するかどうか判断します。

利用者が受診をされた際には薬の変更がないか確認し、現在内服している薬の情報を整理します。

降圧薬や便秘薬が追加された場合など、日常生活に影響が出てくると判断される場合は、日々のケアで注意してほしい点を介護スタッフにも周知します。

医療知識を持つスタッフが少ないため、病院で看護師同士通じていた「普通」が通じない場合が多々あります。

OD錠とは何か、飲み合わせの悪い薬は何か、なぜ食前に内服するのか、理解はできていないものの、とりあえず指示された通りに与薬するスタッフもいます。

また、知識がないために危険予測や異変の早期発見ができないスタッフも多いので、看護師として利用者の状態を正確に把握できるようアンテナを張っておく必要があります

医療処置

事業所内または、訪問時に自宅で必要な医療処置を行います。

  • 胃瘻・経鼻栄養
  • 膀胱留置カテーテルの交換・管理
  • 導尿
  • CVポート管理
  • インスリン
  • 浣腸や摘便
  • 点滴や採血
  • 排痰ケアや吸引
  • 在宅酸素療法や呼吸器の管理
  • 食事介助
  • 褥瘡や皮膚トラブルの処置

医療処置で頻度の高いものは胃瘻・吸引・膀胱留置カテーテル管理・浣腸や摘便・褥瘡処置になります。

事業所にもよりますが、点滴や採血は往診医が対応するため、看多機の看護師が実施するケースは少ないです。

また、経口摂取が困難になった利用者の持続補液は、皮下注射となることも多いため、ルート確保が苦手な看護師も働きやすいです

家族対応

退院後、初めての在宅介護となるご家族も多いので、おむつ交換や吸引の仕方などを家族に指導することもあります。

日々のご自宅での様子を伺い、ご家族の介護負担を減らすことができるようケアの仕方を工夫することも看多機の看護師として大切な役割です。

病院ほど物品が充実しておらず、毎日の積み重ねとなるため金銭面も抑える必要があります。

ペットボトルで陰部洗浄ボトルを作ったり、医療用ガーゼの代わりに母乳パット・防水フィルム・不織布などを用いて褥瘡処置を行ったりといった工夫が大切です。

ご本人だけでなくご家族に対しても、病気や治療の情報を適切に提供し、不安や迷いをできるだけ軽減させた状態で意思決定できるよう、専門的な立場から支援する必要があります。

病気の進行、孤独、死への恐怖などさまざまな不安を受け止め、共感し、安心感を持ってもらえるよう努めます。

家族とも密にコミュニケーションを取り、家族や住環境を踏まえたケアを提供するのが看多機の看護師の特徴です

緊急時の対応

緊急時には24時間体制で連絡を受け、自宅への訪問や往診医への連絡を行います。

バイタルサインのチェックや全身状態の観察を行い、ご家族や主治医と連絡を取り、迅速に必要な治療や緊急搬送が行われるよう対応します。

医師の指示のもと、吸引や酸素投与、点滴投与を行うだけでなく、ご家族や利用者が不安にならないよう状況の説明や今後の見通しを伝え、精神的支援を行うことも大切です。

ご家族に代わって救急隊や主治医に状態の説明を行ったり、緊急搬送時に救急車に同乗することもあります。

管理者が連絡の窓口となり、実際に訪問が必要と判断したら、当番の看護師または近隣の対応可能な看護師に行ってもらうことが多いです

子供が小さい、家が遠方などの事情がある場合、夜間の対応を免除してくれる事業所もあります

多職種との連携

日々の状態の変化を主治医に報告することで、薬や栄養剤の調整をしてもらい適切な治療が受けられるよう支援します。

緊急時の主治医への連絡も看護師が行うことで、より正確に状況を伝えることができます。

介護スタッフが夜勤に入り、看護師はオンコール体制となる事業所がほとんどなので、夜勤帯で介護スタッフが困らないよう、また、適切なケアを提供することができるように、申し送りをする必要があります。

日中のうちに行えるケアを行い、異常の早期発見や対応を行うことで、夜勤帯での急変のリスクを最小限に抑えます。

看護の視点から利用者をみて、必要と判断したケアやサービスがあった場合はケアマネジャーに相談し、ケアプランにその内容を盛り込んでもらう必要があります。

介護スタッフにケアの方法を変更・統一してもらうためには、管理者への相談が必要となります。

このように、看多機の看護師は、家族・主治医・介護スタッフ・ケアマネジャー・管理者など、様々な人と連携・関係構築を行うことが大切になります

看多機の看護師のやりがい

看多機の看護師には病棟看護師とは違ったやりがいがあります。

規模が小さいため、自分の意見や行動が反映されやすく、自分の行動による改善が目に見えて感じられます。

また、自宅の生活の場に入らせていただくため、「病気そのもの」よりも「生きること」に目を向けた関わりができます。

利用者の生活に寄り添える

柔軟に対応できるので、その人らしさを表現し自宅で過ごせる喜びを提供できます

生活に寄り添うことができるのです。

通いの際には普段の様子を、訪問時に家での様子や住環境を、泊まりの際に夜間の様子を知ることができます。

包括的に利用者を看ることができるので、生活の質(QOL)を上げるためには、どこにフォーカスを当ててアプローチしていくのが良いのかを考えることができます。

病院と違って制限も少ないので、本人のペースで、本人の大切にしたい軸を尊重しながら、食べたいものややりたいことを実現できるよう、ケアの方法を考えます。

病気を治すのではなく生き方を支える看護ができる

看多機は在宅生活を支えるためのサービスという位置づけなので、「病気を治す」よりも「どう生きるか」という、生き方を支えることにフォーカスを当てています。

必ずしもゴールが病気の治療ではありません。

病気と共存しながら、その人らしく生きるための治療・療養方法を考えます。

一人一人と深く関われる

利用者の人数が少なく密に接することができるので、じっくり丁寧に関わることができます。

長期的に関わることができ、利用者が良くなっていく姿を見られることも看多機の看護師の良いところです。

はじめは全く経口摂取ができず、CVポートで高カロリー輸液を投与していた方が、嚥下訓練により胃瘻→経口摂取へと変化していった事例もありました。

日々の褥瘡処置を継続し、家族にも処置の方法や体位交換の仕方の指導、栄養剤の紹介などを行い、深い褥瘡を家族とともに完治させることに成功した例もあります。

ワークライフバランスが取りやすい

業務が煩雑ではなく、イレギュラーや緊急なことも少ないため残業もない施設がほとんどです。

ワークライフバランスを取りやすい職場といえます。

基本的には看護師が夜勤に入ることはないので、規則正しい生活を送れます。

自分の意見が反映されやすい

小さな職場なので、自分の意見がすぐに届き反映されやすいです。

業務の中で改善した方が良いと思うこと、自分が大切にしている看護観を発信し、皆に共有・共感してもらえるチャンスが多くあります。

大きな組織の中で腑に落ちないまま、決められたルールに則って仕事をしている人にとってはメリットとなります。

看多機の看護師の大変さ

小さな組織、自宅という生活の場でケアを提供する看多機には、看護師として大変と感じる場面もあります。

自分一人の責任が大きい

看護師の人数が少ないため、自分一人の責任が大きいです。

医師が常駐していないため、医療的視点で利用者を見ることができるのは看護師のみです

何か問題が起きたときに「ちゃんと見ていなかったのか」「防ぐことはできなかったのか」と問われてしまうため、予防的な視点で見ていく必要があります。

緊急時に判断を求められることも多いですが、だいたいは2人以上看護師が勤務しているので、相談はできると思います。

毎日の利用者の観察はもちろん、家族の介護力も見極めたうえで、問題なく在宅生活を継続することができるよう支援する必要があります。

家族に伝えたつもりでもうまく伝わっておらず、自宅で適切なケアが行えていなかったというケースもありました。

寝たきりの利用者の主介護者であるご家族も高齢であった場合、こまめな体位交換は行えないと予測し、エアマットの導入や栄養状態の改善、排便コントロールの方法などを検討し褥瘡予防に努めることが大切です。

医療知識が十分でない人々との関わり

看多機にいるスタッフのうちほとんどが介護士です。介護スタッフには医療知識が十分にないため、利用者の身体的状態に対して同じ認識を持ってもらえないことがあります。

また、伝えたつもりでも介護スタッフが理解できていないこともあるため、介護スタッフにもわかる言い回しで説明する必要があります。

必要に応じて、介護スタッフに対して指導や教育をすることもあります。

管理者・ケアマネジャー・介護スタッフ、家族と良好な関係構築を行うことも、看多機で働く看護師として求められるスキルです。

看多機の看護師に向いている人

看多機の看護師に向いている人は、以下の特徴のある人です。

  • 在宅看護に興味がある
  • 利用者とじっくり関わりたい
  • その人らしく生きることを支えたい
  • 夜勤なしで働きたい
  • 家族支援をしたい
  • コミュニケーションが好きで、多職種との連携が得意
  • スタッフに指導ができる
  • 医療技術から完全には離れたくない

病棟の煩雑さに疲れてしまった人や、夜勤を辞めたい人にもおすすめです。

看多機の仕事に興味がある看護師へ

看多機の看護師は大変なこともありますが、利用者の生き方を支え「その人らしく過ごす」を実現することができます。

関係構築のためのコミュニケーションや、予防的視点を養うことなどスキルアップを図るチャンスもあります。

看多機の看護師になることで夜勤から解放され、規則正しい健康的な生活を送ることができます。育児と仕事の両立もしやすいと考えられます。

ワークライフバランスの取れた看多機で看護師として働いてみてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただきありがとうございました。

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