【小児科看護師監修】子供の熱性けいれん|慌てないために覚えておくべきポイント

小児看護

「子供が急に熱性けいれんを起こした!」
「呼びかけても反応がない…」
「また熱性けいれんを起こしたらどうしよう…」
「熱性けいれんが起きたらどうすればいいんだろう?」
子供の発熱時は心配が尽きないですよね。
その上、けいれんという言葉を聞いたら怖いと思います。

我が子が熱性けいれんを初めて起こしたときに、パニックになった親も多いのではないでしょうか?
ですが、熱性けいれんを起こした90%以上の子供は、全く障害が残らずにすくすくと成長しています。熱性けいれんは怖くない病気なのです!

この記事では小児科経験のある看護師が、熱性けいれんがどんな時に起こりやすいのか、起きた時はどうすればよいのかを分かりやすく説明します。

この記事を読めば熱性けいれんについての正しい知識が身に付き、正しい対応が取れるようになります。
熱性けいれんが不安・怖いと感じている親は、ぜひ読んでみてください。

子供の熱性けいれんとは

子供の熱性けいれんには、起きやすいタイミングやどんな子が起こしやすいのかなど、特徴があります
くわしく説明していきます。

熱性けいれんの定義

生後6か月から5歳以下の乳幼児に起こる、通常38.0℃以上の発熱に伴うけいれん
と定義されています。

けいれんというと、グーっと力が入ってしまう、体がガタガタ震えるといった状態をイメージする方が多いと思います。
それ以外にもけいれんには、眼球上転(目線が上を向く)、一点凝視(一点を見つめ動かない)、脱力といった状態も含まれます。

生後6か月以下で起こるけいれんのほとんどは、脳の病気など別の原因で起こるので、熱性けいれんの定義では生後6か月以上を対象としています。

よくけいれんと間違われる症状に、寒くて体がガタガタ震えている状態(悪寒・戦慄)がありますが、けいれんとの違いは「意識があるかどうか」です。
体が震えていても、声掛けに反応があるようならけいれんではないと判断できます

熱性けいれんの起きやすいタイミング

熱性けいれんの起きやすいタイミングは2点あります。

  • 熱が上がり始めてから24時間以内(特に最初の2時間)
  • 39.0℃以上の高熱が持続している時

また、親や兄弟が熱性けいれんを起こしたことがある子供は、熱性けいれんを起こす確率が上がるといわれています

熱が出始めてから2日以上経過した後に、熱性けいれんを起こすことほとんどありません

熱性けいれんを何度も起こす子供の特徴

熱性けいれんを何度も起こしやすい子供には特徴があります。
以下がその特徴です。

  1. 家族歴(両親・兄弟に熱性けいれんの既往がある)
  2. 12か月未満で熱性けいれんを起こしたことがある
  3. 熱が出てからすぐ(1時間以内)に熱性けいれんが起きた
  4. 熱性けいれんが起きた時の体温がそんなに高くなかった(39.0℃以下)

こういった特徴を持つ子供は、何度か熱性けいれんを起こすことがあるので、熱が出た時には特に注意してください。

熱性けいれんによる後遺症は大丈夫?

熱性けいれんを起こした子供のうち90%以上の子供はてんかんを発症しません。
学習上問題をきたすことも、脳にダメージを与えることもありません。
熱性けいれんは基本的には安全な病気なのです

ただし注意が必要な場合もあります。

  • 15分以上けいれんが持続する場合
  • 意識が戻らないまま何度もけいれんを繰り返す場合

上記の症状がある場合、脳にダメージが残ることがあるのですぐに救急車を呼びましょう

熱性けいれんの危険な症状

熱性けいれんの時間が短くても、脳の中で感染を起こしていると危険な場合があります。
その場合には以下の症状が現れます。

  • 仰向けに寝ている状態で頭を持ち上げようとすると強い抵抗がある
  • 嘔吐している
  • 激しく頭を痛がる
  • 光を極端に眩しがる、目を開けるのを嫌がる

こういった症状がある場合もすぐに救急車を呼びましょう

けいれんが起きた時の対処法

けいれんが起きた際には慌ててしまうと思いますが、とにかく安全に過ごせるよう努めてください。
余裕があれば、どんなけいれんだったか、どれぐらいの時間続いたか、観察しましょう

安全な場所の確保

けいれん中は手足が突っ張ったり、体をばたつかせたりすることがあります。

周囲の物(おもちゃ、家具など)をどかして、ぶつかってケガをしないようにします。
ベッドやソファは落ちたら危険なので、広い床の上に寝かせます。
けいれん中に子供を動かすと窒息やケガのリスクがあるので、無理に抱き上げたり押さえつけることはやめましょう

顔を横に向ける

唾液や嘔吐物で窒息するおそれがあるので、顔を横向きにして気道を確保します

無理に口の中に何かを入れたり、舌を引っ張ったりしないようにします。
子供の歯で、親がケガをする恐れがあります。

観察する

けいれんが始まった時間を確認し、どのぐらいけいれんが続くかを観察します
多くの熱性けいれんは5分以内に収まりますし、5分以内のけいれんはほとんど後遺症を残しません。
けいれんが起きている間は1分1秒がとても長く感じ不安になると思いますが、とにかく安全を確保し、けいれんが収まるのを待ってください。

可能であれば、スマートフォンなどでけいれん中の子供の様子を動画に撮ってください
受診時にけいれんの様子(体の動き・目の動き・持続時間)を見せると診断の助けになり、より正確な治療を受けることができます。

けいれんが収まったあとは、安静にして呼吸や顔色を確認します。
意識がはっきりと戻ったあとは、水を飲ませるなど、いつもの生活をして大丈夫です。

ダイアップの使い方

熱性けいれんを起こし医療機関を受診した場合、ダイアップ(ジアゼパム坐薬)という抗けいれん薬の坐薬を処方されることがあります。

処方された医師から指示がある場合はその通りに、一般的には38.0℃以上の熱がみられた場合に1回目の投与を行います
そのあと8時間後に2回目の投与を行ってください
眠気やふらつきが強い場合には2回目の投与は行わないでください

便と一緒にダイアップの坐薬が出てしまった時、便の中に坐薬の形が確認できる場合は、新しい坐薬を半分にカットして、再度投与します。
便の中に坐薬の形が確認できない場合は、再投与を行う必要はありません。

※解熱剤について

解熱剤で熱性けいれんは予防できません
熱によってぐったりしている場合は、熱を下げてあげることで子供が楽になったり、親の不安が軽減することがあるので、解熱剤を使用してあげてください。

抗けいれん薬のダイアップ坐薬と解熱剤を一緒に使う場合
 ダイアップを先に投与し、30分後に解熱剤の坐薬を使用します。
 内服の解熱剤は、ダイアップと同じタイミングで内服させて大丈夫です。

まとめ

熱性けいれんは怖い病気ではありません。
ほとんどの場合、全く後遺症もなく経過します。

熱性けいれんが起きた時には、慌てず、安全を確保できるよう対応しましょう

子供の熱が続くと心配ですよね。
そばで見守っているママやパパの不安は子供に伝わってしまいます。

ママやパパが安心した気持ちで子供と接することができれば、子供も安心して病気と闘うことができます
この記事が少しでもその手助けになればうれしいです。

看病で疲れも出ると思うので、ご自身も少し休める時間を取ってくださいね。

子供の発熱時に家庭でできる対処法について知りたい方は、こちらのページも参考にしてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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